本物の牛乳

牛乳には加熱処理方法によって、大きく二種類に分かれるということを意識したのは、チーズを作ろうとしたときでした。

参考にした本によれば、チーズ作りの原料としては生乳が理想なんだそうです。生乳とは、牛から搾ったままのミルクです。生乳を手に入れることが出来る人はほとんどいませんので、実際には低温殺菌牛乳を使ってくださいとあります。どうやら、普段スーパーでよく見かける牛乳は、チーズ作りには使えないらしいのです。
(これは後日、私自身で確かめてみました。確かに普通の牛乳では、チーズが出来ませんでした。)

この時以来、普段私たちが飲んでいる牛乳というものにちょっとした疑問が浮かんできました。そして、それは 『 日本の牛乳はなぜまずいのか 』 (平澤正夫・著 草思社 1997年)を読むに至り、決定的なものとなりました。

欧米の牛乳の大部分は、63度30分の加熱処理(パスチャライズ)をした、パスチャライズド牛乳です。(日本では低温殺菌牛乳と呼ばれてます。)一方、日本では、120度2秒もしくはそれ以上の高温で処理されたものが大半です。

チーズ作りには使えないような牛乳が日本で広く流通している理由の一つは、搾られた牛乳の質がよくないためです。牛乳の中に含まれる細菌の数が多いと、63度30分といった加熱処理では、とても安心して飲めるような牛乳にはなりません。

私たちはある牧場で研修を受けたことがあります。その牧場では、搾った牛乳を72度15秒の加熱処理を行い、出荷していました。(この方式もパスチャライズではあります。)
「63度30分で、加熱処理はしないのですか?」
と聞いたところ、この牧場の方は、
「いやあ、正直自信がないなあ。」
と漏らしていました。殺菌温度が低いほど、細菌数の少ない高品質の牛乳が求められるのです。

牛乳の加熱処理以外にも、牛乳の質を左右するものはいろいろとあります。例えば、牛の飼い方(放し飼いか、牛舎に閉じ込めているのか)、牛のえさ(安全・安心なものかどうか)等。ですが、非常におおざっぱな言い方をすると、パスチャライズド牛乳(低温殺菌牛乳)の方が、普通の牛乳よりも高品質です。

私たちは、チーズ作りに使える牛乳こそ、本物の牛乳と考えています。

それでは、あなたを本物の牛乳を使ったホームメイドの世界へご案内しましょう。

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